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Cheng Ting Chen

Art Education for Autistic Children

美術教育指導の試み

 

  1.自閉症児の模倣本能として

前述した自閉症児たちは、ものごとを直感的に理解するが、理解したものはほんの一部分に限られている。おおかたは基本パターンを繰り返すだけで情勢に対応する為、融通がきかない場合が多い。例を挙げると、ある学生は、通学の道順がいつも決まっていて、近道や違う行き方を教えると、大変困惑し、焦ってパニックに陥ってしまう。

繰り返しによって、彼らは不利益を被る一方で、物事を捉えるときに、視覚的な記憶には長けていること利用して彼らが理解しやすくなるということにもつながる[1]。明確な手順は、彼らの外の世界と内面とをつなぐパイプであり、意思疎通の重要な役割を果たす。最終的に学習した成果は、まるでデータファイルのように豊富な資料として記憶され、脳というファイルに保存され、必要なときにはアウトプットされる。(例:単語の記憶、言葉の勉強、絵の技法)



[1]医学的な治療のために、「視覚の構造化」を実践する方法としてTEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped Children)プログラムが世界中で知られている。彼らの得意とする視覚を有効に用いることによって、図示したり、手順をカードに具体的に書いたりすることで理解が容易になり、学校や家庭、職場での生活がよりスムーズになる。

    自閉症児と健常児の感じ方のパターンは異なるので、自閉症児たちは外界の人々の考え方を理解し、外界に対し自分をどう表現するかを勉強する必要が生じる。つまり外の世界と自分の世界の価値観の違いの中でバランスを保つことが必要となるのだ。芸術の学習おいて、彼らはよく外部からの新しい情報を省略してしまい、抽象的な説明なども理解できないので、技法的側面を学ばせ、さらに自発的創造性を観察した方がよいと考える。   彼らは、様々な模倣の経験によって日常生活を学び、それが彼らの性格的特徴となる。絵を描く際に手本を与えなかったり、模写させなかったりすると、大きな不安を感じパニックに陥る。だからといって、手本を見ながら模写ばかりすると作品の創作を妨げる恐れもある。   模写の目的は、技術の模倣という手段を使うことで絵の技術(たとえば混色など)を習得し自分自身の作品の技術面を向上させることである。つまり、模写とは、創造的模倣であると言える。更に言えば、様々な異なった手本の特徴を取り入れたり、選んだり、合成したり、新しい混色体を作り出したりして、自分の創作に応用するのである。そして、模写から具体的な内容を得ることで自分の視野を広げ、拘る部分から解放され、瞬間的に変わることができる。自閉症児が自分で判断できる空間を保つためにも、手本の選択にあたっては、例えば名画や写真など、複雑な構造や色彩を用いたものがよいと思う。

2.模写と創作の関係

 

1)臨画と写生の違いは、写生の場合、立体の要素を引き出し、点線画などの平面的な造形要素を残す。すべての立体の遠近感は画面の上下左右の関係に取って代わる。臨画の場合、学習者はただ単に造形要素と変化を推察させることに専念して練習するだけでよい。

2)「発想」と「技術」の関係

作品を作る時、大きく分けて発想と技術の2つの要素がある。一般的に言えば、臨画はあらかじめ技術を勉強し見習うことによって、それを応用したり、類推したりすることで、自分の作品に取り込むようになる。発想は、作者の生まれ持った特質や周りの環境によって新しく生み出されるものであり、自分自身から生じるものである。つまり、発想は作品の主要部分である。学習を始めたばかりの頃は、作品の中身が技術によるものか発想によるものかが区別できない。しかし初心者が繰り返し臨画を描くと、臨画の本質はすべて技術によるものであると勘違いしてしまい、発想の部分(つまり作品の最も重要であるところ)を重要としなくなってしまう。技術の学習と発想の学習の本質を混同させてしまうのだ。学習した技術を自分の作品に反映させることにのみ熱心になり、才能や自由を失い、決められた技術だけを学ぶだけの状態に陥ってしまう。以上のような理由から、教える時は、必ずバランスを保たなければならず、そのように学習することで作品を完全にさせるものと考える。

 

3)模写から創造へ ①技法の指導方法には同時に2つの相互作用システムを構築する必要がある。「公式学習ファイル」と「解体公式」の情景応用モデルである。技法の正面と反面が互いに作用し、創造性を得ることができる。「公式学習ファイル」は、具体的な技法手順をおって、実際の制作をはじめる方法である。彼らに具体的な教育内容を理解させるように描くようにする。 ②「解体公式」は、模写への拘りから遠ざけるように、自己決定と類推の能力を身につけることで創造するためのものである。多くの指導者は、子供に形体を完璧に描くことしか教えない。解体公式の重要性を軽視してしまうと、多くの子供は、いつまでも一つ一つの指示に一つの動きしかできなくなる。絵の中身が分からなければ、創造の楽しみを体験することができない。では、どのように絵の内容やその意味を理解することができるのか、その方法は2つある。1つは絵の内容の源から、もう一つは内容の類推からである。自分で選んだ技法によって、絵の内容を理解することができれば、自分の考え方を変えることができる。さらに、新しい絵の要素を創造する能力もつく。創造的な部分は日頃宿題として出された絵や自発的に描いた絵を描くときにでてくることが多い。宿題によって、彼らの絵をより上達させるためには、彼らが描きたいものと相反する対象を例として取り上げ、彼ら自身が実感できるものを用意することが重要である。彼らの拘る点から目を遠ざけ、距離を置かせることで彼らの盲点から避けることが大切である。   自閉症児は自分をある限られた方向に向かわせ、制限するという特徴を持つ。教師はその方法と逆の方向に向かわせたり、違う要素を体験させたりする必要がある。そうすることで、彼らは新しい要素を自分の創作に取り入れ、既存のシンボルに新しい芸術的見地を与えるのだ。 ③前述の自閉症児の特徴としては、さまざまなルールを設け、多くの時間をかけ、集中することなどがあげられる。例えば、クレヨンを最後まで折れないようにするとか赤い色を使えないなどがそのルールである。新しい経験や考えを身につけさせるためには、ひとつずつその制限を取り払い、さらに物事に対し融通がきくようなることが大切である。そうすることで情緒的な問題は減り、絵の本題に専念するようにもなる。

 

具体的な教え方について

1.模写の内容について:DBAEの造形要素の観点

E.アイスナーは芸術カリキュラムには美術創作・美術批評・美術史・美学などの四項目を含むべきだと説いている。そのうちの後者三項目は、抽象的な思考に属するものであり、自閉症のカリキュラムには適していない。しかしDBAEの美術創作は具体的で手順を踏むことを主張しているため、学生が言葉やイメージを理解し、材料を使いこなし、作品を展示することの助けとなる。このような理由から、一部のDBAEのカリキュラムは、技術的な面、つまり材料処理のテクニックや色彩形状面などの構造要素の処理方法などの内容については、参考にできると考える。

2.立体の彫塑作品からの平面構造の理解

自閉症児に美術講義の内容を説明するときは、具体的に伝えることのみが役に立つ。そこで、実物や人間を対象として写生させる。それには、写真や絵を使って説明し、彼らの思考を援助することが不可欠である。しかし、写生の練習の際自閉症児によっては、実物をそのまま見ても、教師がいくら説明をしても、ものの仕組みを理解しにくいことがある。その時、立体の塑像作品を作ることが彼らの理解の一助となる。例えば、手と足がどのように体と接続しているのかが理解できず、いつも間違った場所に手や足をかき、なかなか正しい位置づけができない学生がいた時に、以下のような方法で、実際に教えてみた。

1)立体的な彫塑作品を作ることにより、平面的作品の理解を援助する。子供の美術的心理発達過程において、立体的な彫塑の発達のほうが、絵画のそれよりも速い。ある13才の子供は人間の体がうまく描けず、棒人間を描くことでしか表現できなかったが、粘土の塑造を作らせてみると、各部分の仕組みを正しく理解でき、手足の様々な動きも自由に表現できた。なぜそのようになるかというと、彫塑は真実の世界の人間や物と同じ立体的な存在で、両者はより近い存在であり、平面空間に変更する必要がないからである。日常生活的な内容を描かせることにおいても、彫塑の方が絵よりもずっと容易なのである。それ故、絵を描く前に、絵と同じテーマで粘土の塑像を制作させた後に、できた作品を見ながら絵を描かせることが彼らの絵の理解に大いに役立つ。粘土をあらゆる角度から観察し描くことは、自分の好みのスキーマを描くことと違い、絵の空間的側面が具体的に理解できるので、その絵の意味も柔軟に理解できるようになる。さらに、絵を描く際には、塑造で理解したことによって、安心感を得て取り組むことができる。 8才のGくんは口数のすくない自閉症児だ。画用紙とサインペンをもつと、すぐに次から次へとほぼ同じサイズの三角形を繰り返し描き始める。どんな課題を与えても、いつも三角形だけを書き続ける。彼の親は、彼が小さな時から、単純な形や簡単な顔の形を模写させる一方で、その絵の内容を理解できるかどうかは全く無視してきた。だから彼にとっては絵を描くことは模写することや三角形を描くことであると勘違いしていた。私が彼を教え始めた時、私を写生するという課題を与えた。彼は目の前のモデルと絵の間の関係が全く理解できず、やはり三角形を繰り返し描いた。 Your text goes here.