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秩序的絵画
自閉症児の美術教育
自閉症の芸術観
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Cheng Ting Chen

Art Education for Autistic Children

自閉症児は絵を描く前や、その最中によく、絵筆やクレヨンのにおいを嗅いだり、耳に近づけて聞いたり、指で挟んで机などに打ち付けて音を立ててみたり、あらゆる角度から観察したり、両手でなでたり、咬んだり、食べたり、紙の空白部分に何度も線や色を試し書きしてから、やっと自分の作品を書き始める。描いている途中にも、繰り返し同じように試そうとする。

フランス文学家Maurice Merleau-ponty(1908-1961)は、身体( Korper-body)は知覚分析をするための最も重要な媒体であり、美感経験は体の活動と周りの環境に応じて生じる。体は常に外の世界と接触する最初の原生物(raw material)となる。身体活動を通じて、人間自身の存在を表すことができる。自閉症児は制作の際によく、体の五感を敏感に感じることで、作品を描く際に様々な直感を働かせる。前述の自閉症児の五感は、過敏的に反応したり鈍感的に反応したりする。その影響で彼らの絵のスタイルも豪放型と、細密型と極端に別れる。

1.豪放型

豪放型は自閉症児の大部分をしめる。彼らは筆をうまくコントロールすることが難しい為、高学年になっても、輪郭の中を塗る際のスピードが速く、輪郭の外まで塗り出すこともよくある。そのかわりに、直感的能力をうまく発達させることも多々ある。特に人間や動物を写生するときなどは、絵の輪郭を描く時間が短く瞬間的で上手く、有機的である。色彩感も直感的に優れた色彩を作り出す。

 

2.細密型

細密型の人は、豪放型と違い、短時間で描くことはせず、特別細かなところまで繰り返し描く。長い時間をかけ繰り返し同じ線を積み重ねて描いた結果、画面構成は細かく、かなりの厚みをもつ。複雑なものを見ても、例えば、迷路や、建築物などの構造や仕組みなど一目見ただけで理解し、すぐに再現して描く人もいる。しかし、これは自分が興味を持ったテーマに限り、それ意外のテーマについての表現は変化に乏しい。このように、学校の美術の授業で描いた絵と日頃自分が興味を持って描いた絵とは、まるで別人が描いたようにみえることもある。それ故、教師は美術の授業において作られた作品には、彼らの絵の才能を見いだせないことも多々ある。長い時間見守ってこそ、彼らの内面の潜在能力を理解できる。

秩序的絵画の定義 

  自閉症児を教えた経験からいえば、手順を踏む、或いは順序に従って描くことは彼らにとって、大きな安心感をもたらす為、好んで繰り返し描き続ける。このような性質による影響で、絵の制作も規則的なものに頼ることを好む。この規則は絶対的であり、それ以外のものを受け入れることができない。自閉症児はよく、我々にとってはそれほど重要でない出来事に注目し、芸術表現においては一種の新たな可能性をもたらすこともある。このような外在秩序つまり人間の感覚と関係なく、単純に視覚的に整然と分類化できる絵画をわたしは「秩序的絵画」と呼ぶ。

自閉症児のあることへの拘りの強さは、絵を描く際に様々なレベルで表れる。この彼ら独特の秩序によって描かれた絵は、普通の人の見方とは異なり、様々な配列的要素による。

自閉症児には秩序的な絵を描く際、大きく分けて2つの課題がある。

1)テーマの選定:

1.      順序がわかりやすいもの。例:ビリヤード

2.      位置がわかりやすいもの。例:地図

3.      計算しやすいもの。例:時間、年代

4.      分類が容易にできるもの。例:昆虫 

彼らは、例えば地図を描くとき、完全に抽象的な標記や線など、互いの関係に基づいて観察し描く。その標記と人間の感情とは関係がなく、内容や意味などはない。日頃から、よく普通の地図を手にし、様々な角度から観察したり、車のカーナビ画面に興味をもったりすることをきっかけとして、ある日突然自発的に地図を描きはじめることが多い。

自閉症児は、このような秩序的な絵を好むが、教師がその絵の内容から新たなものを示唆することは難しい。なぜならこれらのテーマは、例えば国旗や、路線図など日常生活の実物とは異なったシステムや論理的なものからであり、それは識別系統の一部でしかない。 

2)技法の表現:重複のリズムで「足し算の描画」である

1.線や図案は、同じ場所にではなく、画面の至る所に描き反復するもの

2.線や図案は、同じ場所に繰り返し描くため、タッチがあつくなる

 繰り返して動いているものは彼らにとって大変魅力的である。例えば、輪ゴムを触ったり動かしたり、指ではじくことなど。ある自閉症児のスケッチには、同じ方法に繰り返し何本も線が引かれていた。画面上に繰り返し描かれた線は、彼にとって観察から得た本質的な対象である。例えば、カタツムリの殻や、髪等、その実物から抽象的なリズムを感じ、繰り返すことに拘ることが絵の要素となる。 

 

3.繰り返しの絵画行為で、大量性や連続性をもつテーマで作品を作る

自閉症児は順序や配列の属性のあるものを好む。同じ種類の物を収集する意欲が強く、それについてインターネットで調べたり、図工デザインをしたり、それに関するものを自分の部屋に飾ったりと大変行動的になる。その熱情が創造力の源となっているではないか? 10才のBさんは日常生活を記録していた。家庭や学校の写真、国語の教科書の全ぺ-ジを手本としてそっくりそのまま何ページも模写した。最近では、身体的障害で手が不自由なため口や足で絵を描くある有名な画家のドキュメンタリー番組に夢中になっている。   毎日繰り返しその番組の録画をみては、その画家の口で絵を描く姿をまねたりし、ついにはビデオに録画した画像を少しずつ静止画像に分け、その画面をA4サイズの紙に何百枚も模写して、順番に家の壁に貼った。その後は、宮崎駿のアニメに夢中になり、同じようにした。作品は、客観的な視点によるもので、カメラやビデオで撮影された人物の表情は、わざとらしくつくられ、不自然にコピーされ、写真とは別の主人公の内面を映し出したようなおもしろさを呈した。